2022.04.23
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是枝裕和『ゴーイングマイホーム』

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坪井良多は、家でも会社でも板挟みのどこか居場所のないサラリーマン。ある日、疎遠になっていた父が倒れたことをきっかけに、彼の“それなりに幸せ”だった人生に異変が起きる。何と、倒れた父は生まれ故郷の伝説の“小さな生き物”を探していたといい…。

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主人公の奥さんはフードスタイリストでして、自宅のシステムキッチンに乗るの料理は、家庭用と仕事用でいつも混在しています。とても豪華なキッチンで、食材は高価そうで色彩豊かですし、女優の山口智子さんが演じるテキパキとした料理姿は、とても絵になっていました。今で言うインスタ映えですね(それも古かったりして、、)

キッチンは食卓よりも床が3段くらい高くなっていて、料理の写真撮影のためかスポットライトで明るく照らされています。背の高い主人公は小さいテーブルで背中を曲げながら、奥さんが作る美味しそうな料理を食べています。一緒にテーブルで食事する事はなく、キッチンと食卓での夫婦の会話はいたって普通ですが、主人公はいつも奥さんを見上げる格好になっています。

台所と食卓の関係を作る時に、台所の床を1段下げて椅子に座る人と台所に立つ人の目線を揃えるという手法がありますが、このドラマでは全くの逆の事が起きています。料理のプロが住む家では、おそらくありえません。会話では伺えない夫婦の距離を、目線を揃えない事で演出していることが1話目で伝わりました。

是枝監督の映画は、民家だったり団地だったりの暗がりの台所で、シワの入った(樹木希林さんの)手で手際よく料理するシーンから始まる事が多いです。台所をみると、その家族の1面を表現出来ると監督は考えているかも知れません。

家(住宅設計)は家族の関係を深める事も出来るし、その逆も起こりうると背筋が伸びる思いでした。ドラマの感想ですが、

傑作ですよ!

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